1976年に韓国・経済企画院から発刊された「請求権資金白書」10ページからの第1編第1章第2節を日本語訳したものです。

 

※参考サイト naver専門情報

 上記リンクからさらに韓国・国会図書館webサイトの原本ページに飛ぶことができます。

 

要旨
  • 対日財産請求権とは、政府対政府の債権債務と民間対民間で決済されなければならない債務のことである
  • 無償資金は1945年8月15日現在の日本国に対する韓国と韓国民の債権を3億ドルと推算し、日本国が同3億ドル相当の日本国の生産物および日本人の用役を無償で提供するものであり、この金額から協定当時韓国の日本国に対する債務46百万ドルを無利子で相殺したものである。
  • 有償資金は2億ドル相当の産業施設と機械類などを公共借款として7年据え置き13年分割償還年利3.5%で提供したものである。
  • 商業借款は無償・有償資金とは別に3億ドル超を韓国に提供したもので、漁業協力資金9千万ドルと船舶導入資金3千万ドルが含まれる。

 

第2節 対日請求権資金の性格と規模

 

対日請求権資金は日本の植民地政策に伴う物質的な被害の一部を補償するという見地から両国間に請求権資金の規模が決定されたものである。

しかし国際社会での妥結根拠は連合国の対日平和条約である。

同条約第2条により韓国が公法的独立政府に公認され、一方第14条で日本は連合国に対して2次大戦で被った物質的な損害と精神的な損害に対して賠償を支払うことを受諾した。

しかし賠償金を受け取った国は49個の調印国中で「フィリピン」「越南」「ビルマ」「インドネシア」など4カ国であり、その他の国家はすべて賠償を放棄した。

しかし平和条約第21条に韓国が適用を受けることができる該当条項をひとつひとつ列挙してあるものの、不幸にも第14条(賠償条項)が抜けているため韓国は賠償を受けることができない国になり、こうした事実は同会議の米国首席代表である「ダレス」の演説でも再確認された。

こうした経緯と法的な根拠に伴い対日請求権の請求問題は韓日会談初期から議論の対象から除外され、もっぱら韓・日間には平和条約で明示されたところにより領土分離から来る財政的、民事的債権債務のみが残っていたのである。

すなわち、再度言うと政府対政府の債権債務と民間対民間のあいだで決済されなければならない債務が対日財産請求権なのである。

しかし韓・日国交正常化の前提として締結された「大韓民国と日本国間の財産および請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定」にて無償資金3億ドルと有償資金2億ドルを提供することで妥結され、こうした資金以外に商業借款により3億ドルを別途提供することとされている。

無償資金は1945年8月15日現在の日本国に対するわが政府と国民の債権を3億ドルと推算し、日本国は同3億ドル相当の日本国の生産物および日本人の用役を同協定の効力発生日から10年の期間にわたって無償で提供することとされ、同金額中から協定当時我が国の日本国に対する債務45,730千ドルを同じ期間にわたって無利子で相計することとした。

※相計(상계)=相殺

有償資金は韓・日国交正常化に関する条約および協定の基本精神は相互独立と主権を尊重し互恵平等の原則下で両国の共同利益を増進するのに協力すべきという互いの義務を賦与することに基礎を置いている。

そして日本国は我が国の経済開発に所要される外資の一部を担当するため10年間にわたって2億ドル相当の産業施設と機械類などを公共借款として7年据え置き13年分割償還年利3.5%で提供することとした。

商業借款は前記無償資金と公共借款以外に3億ドルを超過する金額を我が国に提供することとした。

こうした商業借款は漁業協力資金9千万ドルと船舶導入資金3千万ドルが包含されている。

 

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第3節 請求権資金の使用基準