1976年に韓国・経済企画院から発刊された「請求権資金白書」11ページからの第1編第1章第3節を日本語訳したものです。
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要旨
- 請求権資金の使用基準を法律化した。
- 資金は韓国民すべてが均等に受益し国民所得が増加する用途にのみ使用し、韓国政府および韓国民のみ使用できることとした。
第3節 請求権資金の使用基準
対日請求権資金は韓・日双方の合意により決定された。
請求権資金が妥結した当時、請求権資金の額数がたとえ満足できないといえども、これを効率的に運用管理し我が国の国民経済の寄与度を極大化することがさらに重要な課題であった。
換言すれば、いくら多くの外資を導入するといえども、これを合理的で効率的に活用できないならば依存的経済体制のみを造成するだけで経済発展に寄与できない結果を招来する憂慮があるため、請求権資金の使用方法はさらにその重要性が認識された。
そして政府では請求権資金使用の基本方向を①すべからく全ての国民が利益を均等に受け取ることができなくてはならず、②国民所得が増加する用途に使われなくてはならず、③施設資材、原資材または機械類を問わず韓国の主導的な意思において決定しなければならず、④後孫に引きつぎ末長く記念となりうる大単位事業に投資されなくてはならないと考え、無償資金、有償資金およびこれら資金にて導入された機資材の販売代金から造成されるウォン貨資金を区別し、次のような使用基準を「請求権資金の運用および管理に関する法律」に明示した。
(1)無償資金は農業、林業、水産業の振興と原資材および用役の導入、そしてその他これに準ずるものとして経済発展に貢献する主要事業に使用し
(2)有償資金は中小企業、鉱業と基幹産業および社会間接資本部門の拡充のために使用し
(3)ウォン貨資金は前記事業の支援または請求権資金管理委員会が定めるところに従い使用することとする。
一方、請求権資金は大韓民国の政府と大韓民国国民に限り使用できるものとし、法人についても大韓民国の法律により設立され、その株式または持分の全部を大韓民国の国民が所有し、理事または業務執行社員の全部が大韓民国の国民で構成された法人に限り使用することとすることで、請求権資金による受惠を我が国の国民に限定させた。
さらに大韓民国の国民(法人包含)が請求権資金の使用許可を受けようとする場合にも次のような厳格な許可基準をおき、その効用度を高めようとした。
ひとつ目、資本財を導入しようとするときには経済企画院長官が主務部長官の合意を経て許可基準に適合するかを審査し請求権資金管理委員会の議決を経て許可するものとされており、その許可基準としては①導入部品の価格、②導入物品の国産品との代替性、③立地条件および建設工事計画、④生産工程およびその他技術性、⑤生産能力と市場性、⑥所要資金の策定とその調達、⑦元利金償還能力、⑧前記の使用基準、⑨国際収支改善への寄与度、⑩経済開発計画との関連性などに適合しなくてはならない。
ふたつ目、用役の導入においては資本財導入の節次が適用されることはもちろん①導入の必要性、②技術の内容および方法、③技術用役の代価、④契約期間、⑤経済的技術的な波及効果、⑥他の同種業との関連性、⑦資金使用基準、⑧国際収支改善の寄与度、⑨経済開発計画との関連性などを適用するものとされていた。
以上のような一般原則と基準に従い政府は請求権資金をより効率的に使用できるようにする次のような資金執行に関する基本方針を立てて、この資金の導入を推進したのである。
ひとつ目、無償資金は農漁民所得増大に寄与できる農業用水開発、農業機械化、農業増産、農事試験研究施設の導入および山林事業育成と漁船建造資材の導入、漁船装置と動力改良、水産物処理加工施設の拡充および水産増殖事業などに集中使用するようにすることと併せて工業化に伴う技術開発を支援するための各種科学技術研究機器と各級学校実験実習機器の導入、そして産業関連効果が大きく重科学工業分野のうちでも核心事業と言える浦項綜合製鐵工場建設のための資本財導入と国内産業施設の円滑な運営に必要な原資材の導入に重点をおいた。
ふたつ目、有償資金は均衡された産業開発を通じて国民生活向上に寄与できるようにするために昭陽江多目的ダムの建設、浦項綜合製鐵工場の建設、産業機械工場の拡張、農水産振興のための工場建設、中小企業育成のための機会施設、海運振興のための船腹の拡張、輸送および荷役施設の拡充、京釜高速道路の建設、鉄道施設改良および拡充、通信施設の拡張と発電施設および旱水害予防のための洪水予警報施設の導入などに充当することとした。
三つ目、ウォン貨資金は農水産振興、科学技術の振興、浦項綜合製鐵工場建設の内資支援とその他綜合国土開発事業などの支援に重点的に投入使用することとした。