1976年に韓国・経済企画院から発刊された「請求権資金白書」14ページからの第1編第2章第1節を日本語訳したものです。

 

※参考サイト naver専門情報

 上記リンクからさらに韓国・国会図書館webサイトの原本ページに飛ぶことができます。

 

要旨
  • 請求権資金を使用する対象事業、事業計画を審議議決するために国務総理の下に請求権資金管理委員会を設置した。
  • 計画および購買に関する事項を管掌し、日本政府と協議するため請求権および経済協力使節団を設置した。

 

第2章 請求権資金の運用管理体制

第1節 運用および管理機構

 

1.請求権資金管理委員会

 

政府は「大韓民国と日本国間の財産および請求権に関する問題の解決と経済協力に関する協定」により導入される請求権資金を使用することにおいて、国民経済の自主的で均衡ある発展に寄与できるよう効率的に運用管理または導入するために「請求権資金の運用および管理に関する法律」を1966年2月19日法律第1741号として制定公布した。

同法律によれば請求権資金の運用管理に関する重要な事項を審議議決するために国務総理所属下に請求権資金管理委員会を設置することとした。

同委員会は委員長1人、副委員長1人および委員14人以内で構成され、委員長は国務総理がなり副委員長は経済企画院長官がなり、委員は関係部署長官、経済界、学界、言論界、法曹界など各分野から大統領が任命または委託することとなっている。

さらに同委員会は委員会の活動を補佐するために若干名の専門委員を入れることができ、委員会の庶務を処理するために幹事1人と書記若干名を置くことができる。

こうした幹事は経済企画院経済協力局長がなり、書記は経済企画院所属公務員のうち委員長が委託することとなっている。

請求権資金管理委員会の権限に属する議決事項としては①請求権資金を使用する対象事業およびその事業計画②請求権資金による購買および導入節次に関する重要事項③その他請求権資金の運用管理に必要な事項などとなっている。

しかし、こうした事項を議決するのにあっては過剰施設、落後された産業施設、国内生産で需要を充足する生産物および日本地域で販売することが顕著に不利な生産物とその他経済発展に寄与せず悪影響を与えると明白に認定される産業施設の導入を議決することはできないとする制限規定を置くことにより、請求権資金の効用度を高めようと努力した。

さらに会議の審議事項が委員と直接的または間接的な利害関係がある場合には、該当委員はその事項の審議議決に参与できないことと法律上で規定することにより請求権資金運用の公正性を期そうと努力した。

こうした管理委員会は請求権資金の運営管理に関する最高審議機関として請求権資金の効率的な運営と公正性を期するため準備された制度的装置なのである。

 

2.請求権および経済協力使節団

 

請求権および経済協力使節団は「大韓民国と日本国間の財産および請求権に関する問題解決と経済協力に関する協定」の実施に関連した計画および購買に関する事項を管掌するため同協定第1議定書第5条1項により設置された。

同議定書と「請求権資金の運用および管理に関する法律」と同施行令の規定により大統領令で制定公布された請求権および経済協力使節団規定によれば同使節団は次のような機能を担当することとなった。

①我が国の政府で作成され日本国が提供する生産物および用役を定める年度実施計画に関する日本政府との協議

②毎年提供限度額の増額に関する日本政府との協議

③特別計定から支払われた金額の全部または一部が使節団に変換された場合、その返還金額の支払い目的に関する日本政府との協議

④生産物および用役の提供が契約に依拠実行され得ないと認定される場合、契約なく実行する生産物および用役の提供に関する日本政府との協議

⑤請求権資金実施のための韓・日政府の協力機関である合同委員会に関する事項

⑥大韓民国政府が提示する借款の対象となる事業およびその年度実施計画に関する協議

⑦借款事業計画が経済的、技術的に実施可能で日本の経済協力基金法に合当するかに関する日本政府との協議および事業計画合意書の締結および実施に関する事項

⑧借款契約に対する紛争の解決に関する事項

⑨商業上の民間信用提供に関する交換公文に関連する経済協力に関する事項

⑩生産物および用役を取得するための契約の締結認識および実施に関する事項

(11)生産物および用役の購買契約に関連した紛争の解決に関する事項

(12)財政借款による購買契約の認証に関する事項

(13)価格、市場および供給能力に関する調査

(14)対外公報宣伝に関する事項

(15)その他協定実施に関連する計画および購買に関する事項

こうした機能を遂行するために請求権および経済協力使節団には公使級相当の別定職として補する団長と団長の下に計画部、購買部、総務課および法務官を置くこととなった。

計画部長と購買部は理事官や服理事官として補し、総務課長は書記官として補すこととなっており使節団の定員は次の表の通りである。

 

<表1-2-1> 請求権および経済協力使節団定員表

職種および職級 人員
別定職  
団長(公使級相当) 1
1級〜5級 計 13
理事官 2
書記官 4
法務官 1
事務官 4
主事 2
総計 14

 

 

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