韓国語「를/을」の意味は「〜を」だけ。使い分けも考えない。

를/을で混乱する原因

多くの人が「를/을」には意味がたくさんあって、わかりにくいと言います。

確かに、最初に「〜を」だと習ったあとで、勉強を進めていくうちに意味が「〜が」になったり、「〜に」になったりするように見えますね。

私のところにも「를/을はどういう場合に「が」という意味になり、どういう場合に「に」という意味になるのですか?」という質問が来たりします。


おそらく를/을の意味が混乱する理由は次のような文章があるからです。

  • 저는 한국 노래 좋아해요.(私は韓国の歌好きです)
  • 저는 지하철 탔어요.(私は地下鉄乗りました)
  • 저는 어제 연예인 만났어요.(私は昨日芸能人会いました)
  • 저는 내일부터 여행 가요.(私は明日から旅行行きます)

たしかに、意味が「が」になったり「に」になっていますよね。

しかし、韓国語の文章をよくよく見ると「를」の役割はとても単純なんです。

意味がたくさんあるように感じるのは를/을が使われている文章を自然な日本語に翻訳しようとするからで、要するに日本語に翻訳するときの都合です。

つまり、日本語の都合から一旦離れてみて、韓国語のなかで를がどのような役割をしているのかに注目すれば、를の意味はかなり単純であることがわかります。

この記事では、韓国語の助詞の中でも、韓国語を始めたばかりの人が混乱しやすい「를/을」の意味、そしてその使い分けがあるのかどうかについて解説していきます。

를/을の役割とは?

では、「를/을」の役割をみてみましょう。

를/을の役割とは、를/을がついた単語が目的語だと示すことです。

他の助詞、例えば에や에서、로には意味がたくさんあるんですが、를/을については「目的語を作る」ことだけが役割だと言ってもいいくらいです。

目的語とは、動詞の意味する「動作」によって影響をうける対象を表す言葉のことをいうのですが、要するに日本語の「〜を」と同じです。

具体例を見てみます。

  • 私は食べます。
  • 私は見ます。
  • 私は探します。

この3つの文章は何やら情報が足りていないので、意味が完全に通じる文章とは言えません。

多くの人の頭には「何を」食べるの?「何を」見るの?「何を」探すの?という疑問が浮かぶはずですが、目的語とはこの「何を」の部分にくる言葉のことをいいます。

  • 私はキムチを食べます。 →食べる対象がキムチ
  • 私はドラマを見ます。 →見る対象がドラマ
  • 私は財布を探します。 →探す対象が財布


このように日本語の場合だと「〜を」がついた言葉が目的語になりますが、韓国語の場合は「를/을」がついた言葉が目的語になります。

目的語を示す役割は日本語では「を」、韓国語では「를/을」が担当しているので、逆に言えば、例えば「〜に」がついた言葉は目的語とは呼びません。同じく韓国語でも에や에서など「를/을」以外の助詞がついた言葉は目的語とは呼ばないんです。

つまり、「〜を」「를/을」がついている言葉が目的語であって、それ以外の助詞がついているものは目的語ではありません

このことから、日本語の「を」と韓国語の「를/을」は全く同じ役割を持っていると言えます。

目的語とセットになる他動詞

「〜を」と「를/을」が目的語を作る役割だということがお分かりになったかと思いますが、目的語と関連してもうひとつ知っておいてほしいことがあります。

上の例文で出てきた「食べる」「見る」「探す」という動詞は、目的語である「何を」がないと文章が完全になりませんでしたよね?

「食べる」「見る」「探す」のように、文章をつくるときに「何を」つまり「目的語」を必要とする動詞がたくさんあります。

こうした動詞のことを他動詞といいます。

で、ここからがポイントですが、動詞が他動詞であれば目的語を必要とする以上、他動詞の前にはかならず「〜を」が出てくるんです。

逆にいえば、文章で「〜を」が出てきたらその言葉は必ず「目的語」なので、「〜を」の次には必ず他動詞がくることになります。

つまり、韓国語でいえば「를/을」がついた言葉は必ず「目的語」なので、「를/을」の次には必ず他動詞がくることになるんです。

ここまでの話をまとめると、

  • 「〜を」も「를/을」も「目的語」を示す助詞
  • 目的語「〜を」「를/을」が出て来れば、その次に必ず他動詞がくる
  • 逆からいえば、他動詞の前には「〜を」「를/을」がついた言葉が必要
  • 日本語でも韓国語でも「〜を」「를/을」以外の助詞がついた言葉を目的語とは呼ばない

ということになります。

文法の話なので、ちょっとややこしく感じるかもしれませんが、この4つの条件が次の話につながります。

なぜ를/을を「が」「に」と訳すのか?

저는 한국 노래 좋아해요.(私は韓国の歌好きです)の場合

「私は韓国の歌が好きです」と訳されるこの韓国語には를が使われています

ということは「한국 노래를」という部分は必ず目的語になります。를が使われているからです。

目的語があるということは、その後ろに必ず他動詞が来るというでもあります。

한국 노래를のうしろには좋아해요という言葉がありますが、実はこの좋아해요(原形:좋아하다)は「他動詞」なんです。

一方、日本語訳がどうなっているのかというと、述語の部分には「好きです」が来ていますよね?

この「好きです」は「他動詞」なのでしょうか?

残念ながら他動詞ではないですよね。「好きです」の原形は「好きだ」です。「〜だ」で終わる日本語は「形容動詞」とか「ナ形容詞」と呼ばれています。

「好きだ」は他動詞でないので、その前に「〜を」を持ってくることができません。

つまり、韓国語の文章では「를/을」が本来の役割である目的語を作っていて、原則通りに目的語の次に他動詞が来ているのですが、日本語訳では좋아해요を他動詞ではない「好きです」としてしまったので、「〜を」が前に来れなくなってしまった結果、「를/을」が「〜が」に見えてしまっているだけなんです。

「를/을」に「〜が」の意味があるわけではないのです。

좋아하다の部分が他動詞になる訳し方

「好きだ」という意味になる日本語の他動詞に「好む」という言葉があります。

なので、좋아하다を「好む」と訳せば、

저는 한국 노래를 좋아해요:私は韓国の歌を好みます

となり、「를」が「〜を」と翻訳されることになります。

これで「를/을」が「が」という意味をもっているわけではないことが、わかったでしょうか?

저는 지하철을 탔어요.(私は地下鉄に乗りました)の場合

「私は地下鉄に乗りました」と訳されるこの韓国語には를が使われています

ということは「지하철을」という部分は必ず目的語です。そして、同じく目的語の後ろに必ず他動詞が来ます。

지하철을のうしろには탔어요という言葉がありますが、탔어요(原形:타다)も「他動詞」なんです。

つまり、韓国語の文章では「를/을」が本来の役割である目的語を作っていて、目的語の次に他動詞が来る原則通りの文章だったわけです。

では、日本語訳を見ていきます。

ポイントは「地下鉄に」の部分です。文法的に説明すると「〜に」がついているので、目的語とは呼べません。そして、「地下鉄に」が目的語ではない以上それに続く「乗る」も他動詞ではありません。

ちなみに他動詞でない動詞のことを自動詞というのですが、日本語の国語辞典には「乗る」は「自動詞」だと説明されています。

つまり、韓国語の「타다」は目的語が必要な他動詞であるのに対して、日本語の「乗る」は目的語をとらない自動詞なので、前に「〜を」をつけることができなくなり、結果「를/을」が「に」に見えてしまっているのです。

타다の部分が他動詞になる訳し方は?

좋아하다については「好む」という他動詞を使えば、自然な日本語訳を作れたのですが、「乗る」についてはこれと同じ意味になる他動詞は無いため、ちょっと難しいようです。これは「会う」や「行く」についても同じです。

なので、自然な日本語訳をつけたい場合は「를/을」を「に」と訳すしかありませんが、もし翻訳する必要がなく韓国語の文法を正しく覚えたいという場合は

  • 地下鉄乗ります。
  • 芸能人会いました。
  • 旅行行きます。

という形で覚えておくことをおすすめします。この方が「를/을」の意味がたくさんあると錯覚せずに、動詞の使い方にフォーカスできるからです。

ということで、「를/을」の意味についてでした。参考になれば幸いです。

なお、日本語文法には「乗る」や「会う」を”「に」他動詞”とする説もあるようです。