G/Kは「舌を喉の奥に引っ込めて」「息を止める」という子音である
NGは「舌を喉の奥に引っ込めて」「鼻から音を出す」という子音である
前のページではこの2つの子音について説明しました。
次は、「N」です。
「N」、つまり「ㄴ」はどのように発音するのか?
また、例のごとく同じ音を繰り返し発音してもらいたいのですが、今度は「ななななななな・・・」です。
つまり、「NANANANANANA・・・」と発音するときあなたの舌がどのように動くのか確認してみてください。
すると、舌の先で上の歯の後ろ辺りをタッチしたり、離れたりすることが分かるはずです。
また舌の先が歯の後ろにタッチするときに、鼻から「ん〜」と声が出ているのも感じるかもしれません。
つまり、NGのところで説明した「舌を喉の奥に引っ込めて」「鼻から音を出す」という方法に当てはめると、Nの発音は「舌の先を上の歯の後ろにタッチし」「鼻から音を出す」という子音だということになります。
先ほども言いましたが、Nはハングルでは「ㄴ」と書きます。
これもㅁㄱなどと同じく発音するときの舌や口のかたちをイメージしている記号なんですが、ㄴは「舌の先を上の歯の後ろにタッチし」というといきに舌が生じるに上の方へ反り上がる様子をイメージした記号です。
日本人の耳にはNG(ㅇ)もN(ㄴ)もおなじ「ん」と聞こえてしまう、この2つの音なんですが、音をつくる際の舌の位置が明らかに違うので韓国人は違う音として聞き分けることができます。
例えば、ソウルで有名な繁華街「明洞」。
ハングルでは「명동」と書くのですが、文字から分かる通り「NG(ㅇ)」の音が連続しています。
しかし、日本人が「ミョンドン」と発音するときには、この「NG(ㅇ)」の音がどうしても「N(ㄴ)」になってしまっていることが原因で、タクシーの運転手さんが聞き取ってくれない・・・という現象が起こったりします。
日本人からすると「ㅇ」も「ㄴ」も大して変わらない・・というより同じ音なんですが、韓国人からすると大違いだということなんですね。
では、次にT/Dの記号である「ㄷ」を見ていきます。
また例によって同じ音を繰り返し発音していただきたいのですが、ここでは「たたたたたたたたた・・・」と声を出してみてください。
するといかがでしょうか?
舌の先で歯の後ろ辺りを何度もタッチするというのを繰り返しているのではないでしょうか?
では、試しに発音もしてみてください。
「なななななななな・・・・」
ん?
お気づきになった方は、韓国語のセンスがあるのですが、「た」と「な」を連続して発音すると舌の動きが全く同じであることがわかるはずです。
つまり、どういうことかというと、「た」と「な」は両方とも「舌の先を上の歯の後ろにタッチし」て発音する仲間の音だったんです。
では、なぜ「た」と「な」の音の違いがうまれるのか?というと、これは今まで見て来た「P(ㅂ)」と「M(ㅁ)」、「K/G(ㄱ)」と「NG(ㅇ)」の関係と実は全く同じです。
N(ㄴ)は「舌の先を上の歯の後ろにタッチし」「鼻から音を出す」という子音であり、
T/D(ㄷ)は「舌の先を上の歯の後ろにタッチし」「息を止める」という子音である
ということが言えるのです。
このことが分かると、なぜT/Dを表す記号がㄷというかたちになったのか分かるかと思います。
舌の先を上の歯の後ろにタッチするかたちをイメージしたかたちである「ㄴ」がベースとなって、ㅁ(M)に線が増えてㅂ(P)という記号がつくられたように、一本線が増えて「ㄷ」というかたちになったわけです。
この線が増えた理由はPと同じく、発音するときに息を止めることがイメージ化されたと考えてください。
ここまで説明すると、パッチムの発音体系を表で説明することができるようになります。
ポイントは発音する瞬間に口(舌)のかたちがどうなっているのか?ということと、そのときの息を止めるのか?鼻から音を出すのか?の2つだということも分かります。
では、表にしてみましょう。
舌を喉の奥に 引っ込める |
舌先を上の歯 の後ろに付ける |
口を閉じる | |
息を止める | ㄱ(K/G) | ㄷ(T/G) | ㅂ(P/B) |
鼻から音を出す | ㅇ(NG) | ㄴ(N) | ㅁ(M) |
子音単独での音の作り方。
実は口(舌)のかたちをどうつくるか?ということと、音をどのように出すのか?という2つの組み合わせを知れば、うまく発音できるようになるのです。
そして、その発音のしかたはすべてハングルの記号の中に示されているのです。
これが「ハングルのしくみ」です。
では、次のページではパッチムの最後、苦手にしている方がとても多いㄹ(R/L)の発音方法を紹介します。